2020.11.26 Thursday
2020.11.20 Friday
望む場所への旅
2020.11.03 Tuesday
繋がりと調和
2020.10.28 Wednesday
沼沢地
第一歩からして、われわれは四方八方から、うっそうたる草に取り囲まれた。草は丈が高くて、よく茂っており、中に入った人間が溺れたように見えた。足の下も草、前方も後方も草、両側も草で、ただ上方だけが青空だった。われわれは草の海の底を歩いていくような感じがした。このような印象は、なにやら小さな丘みたいなものにのぼって、草原がいちめんに波打っているさまを見た時、ますます強まった。私はおずおずと用心しいしい、再び草の中へ沈み、前進を続けた。
(ウラジミール・アルセーニエフ著 デルスー・ウザーラ 上巻 "レフー河の下流"より)
上巻の章で特に好きなのが沼沢地と、そこに棲む鳥たちについての描写です。描かれている沼沢地は極東ロシアの沿海地方、札幌とほぼ同緯度のハンカ湖へ流入して繋がる場所。著者であり軍人・探検家でもあるアルセーニエフが体験したことが精緻かつわかりやすい言葉で語られているので、自分のなかにある似たような景色をベースにして想像を膨らませています。
2020.10.26 Monday
変化
森と草はらの境目に傾いた大樹がある。この樹は昨年の台風で根っこごと引き抜かれたが、幸い隣の木にもたれかかるようにして倒れるのを免れている。枝葉も繁っており、決して枯れて倒れるようなそぶりは見えない。
この浮いた木の根本には縦横無尽に至る根が生えている。この根にはまだ土がついており、そこにツタ植物や種々の草がまばらに生えている。草の根はもはや解きようもないほどに土の中で互いに絡み合っており、そこにまた土が被されば、木を支える大地となることが見てとれた。
先日また様子を見に行った。夏を越した木の根本には、少しばかりの間に膝丈以上にまで草が茂り、とうとう露出していた地面を隠すほどになっていた。私は嬉しかった。この環境の中で木は生きている。それも、ただ一つの木としてではなく、その足元にたくさんの生命を抱えながら生きている。年月を重ねた先でもこの木はこうしているかも知れない。そう思うと嬉しかった。
JUGEMテーマ:写真日記
2020.10.26 Monday